0510 Schimpfwort – swear words – juron – 罵倒語 IVe

IV-5 社会的・経済的地位において標準より劣等とみなされる人々(1)

1 外国人

外国人差別は多くの国で見られますが、これは村落共同体などに見られるよそ者・異邦人差別が発展したものや、(仮想)敵国プロパガンダなどで拡められたものなどに起因するものでしょう。日本では「外人」が差別語となる場合もありますが、はっきりした差別語としては、毛唐があります。個別には、「バカチョンカメラ」で物議を醸した「チョン」、これは旧植民地の朝鮮・韓国の人々や在日(主にコリアン)の人々を蔑んだ罵倒語でした。米国人に対するアメ公、ヤンキー、特にその中の黒人を呼んだ黒、黒坊、ニッガー、ニグロ、ロシア人に対する露助、イタリア人に対するイタ公などもあります。

ドイツ語にはフランス人に対する罵倒語としては Froschfresser くらいしかありませんが、フランス語にはドイツ人を Boche, Schleu, Fritz などと蔑視する言葉があります。Boche の語源はおそらく alboche で、これは allemand (ドイツ人)と caboche (木球/頑固)に由来するのではないかと言われています。Schleu, chleu, chleuh は、源はベルベル人であったのが、フランス軍モロッコ人部隊の俗語でフランス語以外の言葉を話す兵士の意味となり、さらにドイツ語を話すアルザス人などフランス語以外の言葉を話す人、それからドイツ人となったものです。Fritz は言わずと知れたドイツ人の名で、最初はドイツ軍兵士を指していました。

ドイツ語には、イタリア人に対しては Itaka, Itaker, Spaghettifresser、ポーランド人には polacke などと言う侮蔑語があります。日本人や中国人は Schlitzauge(n) で、筆者などもよく子供に両眼を左右に引き伸ばすジェスチャーをされたものです。

また英語ではフランス人は frog で、ドイツ人は Kraut や Hun となります。Kraut は言わずと知れたザワークラウト、Hun は一時欧州にまで攻めてきたアッティラ率いるフン族から来たもので、その野蛮なところをドイツ兵に重ねたものです。

一般的に外国人を蔑視した表現としてドイツ語には Kanake があります。これは現在のカナキーまたはニューカレドニアに由来する言葉で、ポリネシア語やハワイ語でヒトを意味する言葉です。西欧諸国による植民地時代に現地住民や労働者が西欧語でこう呼ばれていましたが、これが本国にも伝わり、始めはポリネシアなどの人々を指す呼称でしたが、次第にこれらの人々に対する侮蔑語に変わり、さらに移民一般、後には外国人一般を指す罵倒語となりました。フランス語でも canaque, kanak として同様な意味で使われています。またドイツ語の Kaffer は南アフリカの種族を指す言葉から、その地に移住した主にオランダ人やある程度のドイツ人が現地の黒人を指す侮蔑語となり、これが本国に移入されて白人以外の外国人一般にも使われるようになりました。中近東の人々に対する侮蔑語としては Kamel-treiber があります。

またオーストリアにはバルカン半島の人々を差別する、語源不詳の Tschusch と言う言葉もあります。フランス語には、さらに古代ギリシャ語から来た mètéque がありますが、移民や南欧系外国人に対する罵倒語です。英語では米国で南欧やギリシャなどからの移民を指していた dago や主に英国で中近東やアジア人を指す wog などがあります。

これらの一般的な外国人に対する罵倒語以外にも、一般的な罵倒語を国民・民族と組み合わせることも、よくあります。例えば、ドイツ語で見れば、Scheiß-Amis, Türkenschwein, -sau, Franzosen-Arschloch, Chinesenpack など色々と言えます。

少し文章でも見てみましょう。

Die Frankfurter Anwältin [Basay-Yildiz], die türkische Wurzeln hat, hat in der Vergangenheit unter anderem den Islamisten Sami A. vertreten und trat im NSU-Prozess als Nebenklage-Vertreterin auf. […] Am 2. August habe sie eigenen Angaben zufolge ein Drohschreiben erhalten, das mit “NSU 2.0” unterzeichnet worden sei, schreibt die “FNP” und zitiert daraus: “Miese Türkensau! Du machst Deutschland nicht fertig. Verpiss dich lieber, solange du hier noch lebend rauskommst, du Schwein! Als Vergeltung schlachten wir deine Tochter.” / In diesem Drohbrief sei auch die private Adresse der Rechtsanwältin genannt worden. Staatsschutz-Ermittler entdeckten daraufhin, dass von einem Dienstcomputer im ersten Frankfurter Polizeirevier die Melderegister-Einträge von Basay-Yildiz abgerufen worden waren. / Fünf Beamte des Reviers gerieten in Verdacht. (web,de, mcf/afp, akt. am 18.12.2018, 10:08)
トルコにルーツを持つフランクフルトの(バーサイ=イルディズ)弁護士は、これまでにイスラム主義者のサミ・Aを弁護したほか、NSU裁判では被害者側の代理人としても出廷していた。【…】弁護士の話によると、8月2日に「NSU 2.0」と署名された脅迫状を受け取った。この件を報じた『新フランクフルト新聞』は、脅迫文の一部を次のように引用している――「汚らわしいトルコの雌豚め!ドイツを滅ぼすことはできないぞ。生きてここから出られるうちにさっさと消え失せろ、この豚め!報復としてお前の娘は屠殺場行きだ!」/この脅迫状には弁護士の自宅住所も記されていた。公安担当の捜査官が調べたところ、フランクフルト第1警察署の業務用コンピューターから弁護士の住民登録データが照会されていたことが判明した。/その結果、この署に勤務する警察官5人に疑いの目が向けられることとなった。(『ウェブ・デーエー』)

2 不可触賤民

明治以来の日本には、江戸時代からの士農工商・穢多・非人の制度の名残で未開放部落がありましたが、これはインドのカースト制度に似たもので、穢多と呼ばれた被差別部落民はカースト以下の不可触賤民にあたります。部落解放同盟は、大阪を中心にいまなお残存している、部落民差別に対する闘争を続け、2026年現在で第4次となる狭山事件の再審請求などを始めとする啓蒙活動にあたっています。

西欧封建時代の隷農以下にあたるのは奴隷でしょうが、奴隷解放と銘打ったアメリカの南北戦争を最後に、世界的にも20世紀には既に消滅していました。と思っていたら、いわゆるイスラム国(ISIS)が中近東でイエジディ(Yazidi)人を迫害・大量殺戮し、少女や女性を奴隷として売買し、家事労働させたり、性奴隷として搾取していました。現在ドイツでもこの件で裁判が進行中です。

ドイツにはもちろんのこと部落民や奴隷などは存在しませんが、一般的に蔑視されたのはユダヤ人やジプシー(Zigeuner 現在は独英仏語全てでローマ/シンティ- Roma/Sinti)の民族で、両者とも場合によっては、固有名詞だけで罵倒語ともなっていました。

ユダヤ人 – Jude/Jüdin – jew/jewess – juif/juive

ジプシー– Zigeuner – gypsy/Gypsy – Tzigane/Gitan

現在のドイツ語では Zigeuner はサラサーテ作曲の Zigeunerweisen(ツィゴイネルワイゼン)や Zigeunerschnitzel(パプリカソース付きトンカツ)などでも使われていますが、人々を指すときには蔑視語と見られます。既に書いたかと思いますが、ローマ/シンティの人々は生活習慣が依然として一般の欧州人とはかけ離れていて、これまたデュッセルドルフ市役所のローマ担当課の知り合いが言うことですが、年配女性が物乞いするのは歴とした職業で、終業時間になると家長が高級ベンツで迎えに来たり、青少年はスリを常習としたりしています。そのやり方ときたらまるで神業で、筆者もベルリンとパリで二度被害に遭いました。ベルリンでは少女が近寄ってきて、こちらは来たなと思って十分に注意していたのですが、あっけなく上着の胸ポケットから鍵を掏られてしまいました。雨もよいで皆が急ぎ足だったパリでも、この時も十分注意していたのですが、青年に後ろからドンと当たられて、財布を掏り取られてしまいました。どちらの場合もこんな間抜けを相手にしても仕方ないとでも思われたのか、あっさり返してくれましたが。次に三度目の正直とでもなったら、返してくれないかも知れません――おお怖(こわ)!

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